建設業許可を取得するためには、5つの許可要件を備えていること及び欠格要件に該当しないことが必要です。「欠格要件」とは、建設業者としての適正を欠くと認められる事項を規定したもので、1つでも該当する事項がある場合には、建設業許可を取得することができません。
欠格要件の主な内容は、「許可申請書や添付書類の虚偽や欠落」「成年被後見人および被保佐人でない」「破産者で復権を得ていない者」「許可・営業停止の関係」「建設業法等の違反の関係」「暴力団員の関係」です。これらの建設業許可の欠格要件に該当しないことを証明するするために、建設業許可申請の際には、「誓約書」「身分証明書」「登記されていないことの証明書」といった書類を提出します。
この記事では、これらの書類の内、「身分証明書」(≠運転免許証、パスポート、マイナンバーカード)についてご案内したいと思います。
身分証明書について
「身分証明書」に関連する欠格要件には、次のようなものがあります。
【建設業法第8条第1号】
破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
【建設業法第8条第10号】
心身の故障により建設業を適正に営むことができない者として国土交通省令で定めるもの
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【建設業法施行規則第8条の2】
法第8条第10号の国土交通省令で定める者は、精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たつて必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者とする。
建設業法第8条第10号の欠格要件に関して、建設業許可事務ガイドラインでは、成年被後見人又は被保佐人に該当しない者は、この欠格事由に該当しないとされています。
また、成年被後見人又は被保佐人に該当する場合であっても、医師の診断書などにより、回復の見込みや医師の所見を考慮した上で、建設業を適正に営むために必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができると認められる場合については、この欠格事由に該当しない場合もあります。
「身分証明書」とは、これらの欠格要件に該当しないことを証明するための書類、つまり、破産者で復権を得ない者に該当しないことや、成年被後見人や被保佐人に該当しないことを証明するための書類となります。
※ 身分証明書の有効期限は、発行から3カ月以内です。
建設業許可申請において欠格要件の対象となる人、つまり、身分証明書を取得する必要がある人は、どのような人でしょうか?
身分証明書を取得する必要があるのは、下記の人です。
- 個人事業であれば、個人事業主
- 法人であれば、建設業法上の役員等全員(監査役などを除く)
- 令3条の使用人
これらの中に欠格要件に該当する人がいる場合、建設業許可を取得することができませんので、注意しておきましょう。
登記されていないことの証明書との違い
建設業許可申請の際に必要となる書類で、「登記されていないことの証明書」という書類があります。この登記されていないことの証明書も、身分証明書と同じく欠格要件に該当しない事を証明するための書類です。似ている書類ですが、これらは以下のようにその記載内容と発行元がそれぞれ異なります。
登記されていないことの証明書
後見登記ファイル上に後見の登記がされていないことを証明する書類で、登記を管理している法務局が発行する証明書
身分証明書
禁治産又は準禁治産宣告の通知、後見登記の通知、破産宣告又は破産手続開始決定の通知を受けていないことを証明する書類で、戸籍を管理する役所が発行する証明書
ややこしい話はさて置き、必ずどちらの書類も必要になることに注意が必要です。
身分証明書の発行手続きについて
身分証明書は、本籍地のある市区町村役場に請求すると発行してもらうことができます。本籍地がわからない人は、住民票で確認するようにしましょう。
請求できる人は、戸籍に記載されている本人、又はその配偶者(夫又は妻)、その直系尊属(父母、祖父母等)若しくは直系卑属(子、孫等)です。
請求できる人の代理人からの請求の場合は、請求できる方が作成した委任状が必要となります。広島市の場合、本人の配偶者や直系親族の人が代理人となって請求する場合は、委任状は不要です
発行手数料は市区町村役場によって異なりますが、広島市の場合は1通300円です。
広島市ホームページ 戸籍関係証明書、住民票の写し、印鑑登録証明書などの各種証明
⇒ https://www.city.hiroshima.lg.jp/soshiki/1021/15207.html