建設業許可を取得するための許可要件のうち、経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するもの(常勤役員等)については、確認資料として次のような書類を提出する必要があり、常勤性や経営経験について証明する必要があります。
常勤役員等の常勤性を確認するための資料(広島県知事許可の場合の一例)
「常勤」とは、原則として本店等において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している状態をいいます。なお、宅地建物取引士、管理建築士等他の法令により、専任を要する者と兼ねることはできません。ただし、同一営業体で、かつ同一の営業所である場合は、両者を兼ねることができます。
また、他者の常勤職員、他の法人の清算人、国又は地方公共団体の議会議員は、常勤性に欠けるため常勤役員等としては認められません(施行令第3条の使用人も同様)。
具体的には、常勤役員等の常勤性の確認資料として、次のような資料の提出が必要となります。
【法人の役員等又は従業員の場合】 ①から③のいずれか1つ
①健康保険被保険者証(写、第1面のみ)
②社会保険(健康保険・厚生年金保険)資格取得届(写)
③社会保険標準報酬決定通知書(写)
【個人事業主本人又は支配人の場合】 ①、②及び必要な場合③
①申立書(常時当該申請者の業務に従事しており、他の商号若しくは名称を用いた営業又は他者への勤務をしていない旨を記載する。)
②国民健康保険被保険者証又は後期高齢者医療被保険者証(いずれも写し)
③後期高齢者医療制度被保険者の場合は、直前の所得税の確定申告書(写)
【後期高齢者医療制度の被保険者(75 歳以上の者)の場合】
※ ここでは割愛させていただきます。ご不明点やご相談などございましたら、お電話またはお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。
法人の場合は、社会保険に加入していれば常勤であると見なされます。その法人名が記載された健康保険被保険者証の写しを提出することで、常勤であることの実態を証明することができます。
個人事業主の場合は、国民健康保険被保険者証を提出することで社会保険へ加入していないことになり、他の事業者の下で常勤になっていないことが確認できます。また、広島県では、申立書(常時当該申請者の業務に従事しており、他の商号若しくは名称を用いた営業又は他者への勤務をしていない旨を記載する。)もあわせて提出することにより、この2つの資料により常勤性を証明するようになっています。
【健康保険被保険者証の写しの提出について】
「医療保険制度の適正かつ効率的な運営を図るための健康保険法等の一部を改正する法律」により、被保険者記号・番号が個人単位化されたことに伴い、プライバシー保護の観点から、健康保険事業とこれに関連する事務以外に、保険者番号、被保険者等記号・番号の告知を要求することを制限する「告知要求制限」の規定が設けられました。よって、令和2年10 月以降、健康保険被保険者証の写しを提出する場合、保険者番号、被保険者等記号・番号(枝番も含む)にマスキングをすることが必要です。協会けんぽ以外の健康保険証(国民健康保険被保険者証・後期高齢者医療被保険者証等)についても、同様にマスキングをすることが必要となります。
常勤役員等の経営経験を確認するための資料(広島県知事許可の場合の一例)
建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして、国土交通省令で定める基準に適合する者に該当するためには、建設業の会社を経営した経験や、経営に関する実務経験が必要となります。
具体的には、常勤役員等の経営経験の確認資料として、次のような資料の提出が必要となります。
建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験があることを証明する場合
「建設業に関し」とは、全ての建設業の種類をいい、業種ごとの区別はなく、全て建設業に関するものとして取り扱います。
【個人事業主の経験の場合】 ①から④のいずれか又は組み合わせによる。
①許可通知書(写)
②所得税の確定申告書(写)(職業欄に建設業の記載のあるもの)
③契約書、注文書(写)(建設工事であることが確認できるもの)
④②又は③が提出できない場合は、所定様式の発注証明書
※①のみによる場合は必要期間分。②、③又は④のみ若しくは①から④の組み合わせによる場合は、必要年数5年の場合は直近の1、3、5年のものが必要
【法人の常勤役員の経験の場合】 ①及び②
①登記事項証明書(必要年数分の役員経験が確認できるもの)
②次のア~エのいずれか又は組み合わせによる。
ア:許可通知書(写)
イ:法人税の確定申告書(写)(事業種目欄に建設業の記載があるもの)
ウ:契約書、注文書(写)(建設工事であることが確認できるもの)
エ:イ又はウが提出できない場合は、所定様式の発注証明書
※アのみによる場合は必要期間分。イ、ウ又はエのみ若しくはアからエの組み合わせによる場合は、必要年数5年の場合は直近の1、3、5年のものが必要
【個人の支配人経験の場合】 ①及び②
①「支配人登記」の登記事項証明書
②【個人事業主の経験】に準じる。
【支店又は営業所の長の経験の場合】 ①及び②
①建設業法上の営業所の長の経験の場合
ア:建設業許可申請書(別紙二(1)又は別紙(2)、建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表)(写)
イ:変更届出書(建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表)(写)
※必要経験期間の経験が確認できるもの
②①以外の営業所長の経験の場合
契約書、注文書(写)(建設工事の契約締結権限を持つ営業所長の経験であることが確認できるもの)
※必要年数5年の場合は直近の1、3、5年のものが必要。
実務上は、この建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験があることを証明するケースが最も多いのではないかと思います。
※この他のケースの場合は割愛させていただきます。ご不明点やご相談などございましたら、お電話またはお問合せフォームよりお気軽にお問合せください。
また、常勤役員等の常勤性や経営経験を確認するための資料は、申請する地域により違いがありますので注意が必要です。ご自身で手続きをされる場合には、各都道府県の手引きを確認するようにしましょう。