はじめに
まずはじめに、一般建設業許可や特定建設業許可を取得ための要件について、もう一度おさらいしてみます。
- 経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして基準に適合していること 【経営業務の管理責任者】
- 営業所ごとに技術者を専任で配置していること 【専任技術者】
- 請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと 【誠実性】
- 請負契約を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有していること 【財産的基礎】
- 過去において一定の法令の規定等に違反した者等でないこと 【欠格要件】
1、3、5については、一般・特定建設業許可共通の要件となります。
この記事では、2.【専任技術者】の一般建設業許可と特定建設業許可の要件の違いについて記事にしてみたいと思います。
この要件では、各営業所に許可を取得しようとする建設業に関する一定の資格又は経験を有する技術者を専任で配置することを求められています。 これは、建設工事について専門知識を有する専任技術者が常に技術指導できる体制のもとで営業が行われるようにし、建設工事に関する請負契約の適正な締結、履行を確保する必要があるためです。
一般建設業許可を取得する場合の専任技術者の要件
※令和5年7月1日からの要件緩和に対応しています。
【建設業法第七条第二項】
イ.許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、一定期間以上の実務経験を有する者。
・大学、短大卒(指定学科)+実務経験3年
・高等学校卒(指定学科)+実務経験5年
ロ.10年以上の実務経験
ハ.国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有する者と認定した者。
・一定の国家資格を有する者
・技術検定試験1級1次検定合格(対応種目)+合格後、実務経験3年
・技術検定試験2級1次検定合格(対応種目)+合格後、実務経験5年
※土木施工管理、造園施工管理 → 指定学科:土木工学と同等とみなす
※建築施工監理 → 指定学科:建築学と同等とみなす
※電気工事施工監理 → 指定学科:電気工学と同等とみなす
※管工事施工監理 → 指定学科:機械工学と同等とみなす
※指定建設業及び電気通信工事業は除外
・経験の内容について国土交通大臣の個別審査を受けその認定を受けた者
建設業の種類別指定学科一覧(建設業法第七条第二号イ)
許可を受けようとする建設業 | 指定学科 |
---|---|
土木工事業 舗装工事業 | 土木工学(農業土木、鉱山土木、森林土木、砂防、治山、緑地又は造園に関する学科を含む。以下この表において同じ。)、都市工学、衛生工学又は交通工学に関する学科。 |
建築工事業 大工工事業 ガラス工事業 内装仕上工事業 | 建築学又は都市工学に関する学科。 |
左官工事業 とび・土工工事業 石工事業 屋根工事業 タイル・レンガ・ブロック工事業 塗装工事業 解体工事業 | 土木工学又は建築学に関する学科。 |
電気工事業 電気通信工事業 | 電気工学又は電気通信工学に関する学科。 |
管工事業 水道施設工事業 清掃施設工事業 | 土木工学、建築学、機械工学、都市工学又は衛生工学に関する学科。 |
鋼構造物工事業 鉄筋工事業 | 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科。 |
しゅんせつ工事業 | 土木工学又は機械工学に関する学科。 |
板金工事業 | 建築学又は機械工学に関する学科。 |
防水工事業 | 土木工学又は建築学に関する学科。 |
機械器具設置工事業 消防施設工事業 | 建築学、機械工学又は電気工学に関する学科。 |
熱絶縁工事業 | 土木工学、建築学又は機械工学に関する学科。 |
造園工事業 | 土木工学、建築学、都市工学又は林学に関する学科。 |
さく井工事業 | 土木工学、鉱山学、機械工学又は衛生工学に関する学科。 |
建具工事業 | 建築学又は機械工学に関する学科。 |
特定建設業許可を取得する場合の専任技術者の要件
一般建設業許可に比べ、その要件は厳しくなります。
【建設業法第十五条第二項】
イ.一定の国家資格等を有する者
ロ.一般建設業許可の要件に該当する者で、許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関して、元請けとして4,500万円以上の建設工事ついて2年以上、建設工事の設計、施工の全般にわたって工事現場主任や現場監督者のような立場で工事の技術面を総合的に指導監督した経験を有する者。
※指定建設業については認められていません。
ハ.経験の内容について国土交通大臣の個別審査を受けその認定を受けた者。
営業所への専任とは
「専任」とは、その営業所に常勤(テレワークを含む。)して専らその職務に従事することを言います。その営業所の常勤職員の中から選ぶことが多く、専任技術者の住所又はテレワークを行う場所とその営業所の所在地が離れていて、通勤不可能な距離にある場合や、他の法令により専任が必要とされている者は、原則として専任技術者になることはできません。
選任技術者の役割
建設工事について専門的な知識を有する専任技術者は、営業所ごとに設置が必要となっています。専任技術者は、営業所では、工法の検討や注文者への技術的な対応、建設工事の見積、入札、請負契約の締結が適正に行われるように技術的サポートを行い、工事現場に出る技術者に対しては、施工が適正に行われるよう指導監督することで、営業所の技術力を確保しています。
建設業許可の申請手続きは提出する書類の数も多く、本業でお忙しくされている建設業者様にとって、かなり大変な作業だと思います。もしお困りごとがございましたら、お気軽にご相談下さい。
最後まで記事をお読みいただき、ありがとうございました。